トレーニングの効果を最大限に引き出し、効率的に筋肉を成長させるためには、トレーニングそのものと同じくらい、あるいはそれ以上に、何をいつ食べるかという食事が極めて重要な役割を担っています。
筋肉はトレーニングで傷ついた筋繊維が、適切な栄養と休息によって修復される過程でより強く太く成長します。つまり食事は、その筋肉を育てるための「材料」であり「エネルギー」です。
この記事では、そんな筋トレと食事の切っても切れない関係について、その科学的な根拠から筋肥大に不可欠な栄養素、そしてすぐに実践できる具体的な1週間の食事メニュー例まで解説していきます。
食事と筋肉の関係性とは
筋力トレーニングと食事は、車の両輪のような関係です。どちらか一方が欠けても目的地である「理想の体」にたどり着くことはできません。
筋トレは筋肉に「成長せよ」という指令を与えるスイッチを押す行為です。トレーニングによって筋繊維に微細な傷がつき、体はそれを修復しようとします。この修復の過程で以前よりも少しだけ強く太い筋繊維が作られる「超回復」という現象が起こり、これが筋肥大の基本的なメカニズムです。
しかしこの超回復が起こるためには、修復のための「材料」と「エネルギー」が体内に十分に供給されている必要があります。その役割を担うのが日々の食事です。 いくら質の高いトレーニングを行っても、筋肉の材料となるタンパク質や体を動かすエネルギー源となる炭水化物が不足していれば、体は傷ついた筋肉を修復することができず、むしろ筋肉を分解してエネルギーを作り出そうとさえします。
つまり食事を疎かにしたトレーニングは、家を建てるのに材料もガソリンもないまま建設機械だけを動かしているようなものなのです
筋肥大に不可欠な栄養素
では筋肉を効率よく成長させるためには、具体的にどのような栄養素が必要なのでしょうか。
タンパク質
タンパク質は筋肉の主成分であり、筋肥大を目指す上で最も重要な栄養素です。トレーニングによって傷ついた筋繊維を修復し、より太く強くするための、まさに「レンガ」のような役割を果たします。肉や魚、卵、大豆製品、乳製品といった食品から、体重1kgあたり1.5g~2.0g程度を目安にこまめに摂取することが推奨されます。
脂質
脂質はホルモンの材料となったり細胞膜を構成したりと、体にとって不可欠な栄養素です。特に筋肉の成長に関わるテストステロンなどのホルモンは脂質から作られます。敬遠されがちですが良質な脂質を適度に摂取することは、健康的な体づくりに欠かせません。アボカドやナッツ類、青魚、オリーブオイルといった不飽和脂肪酸を多く含む食品から摂取することを心がけましょう。
炭水化物
炭水化物(糖質)は体を動かすための主要なエネルギー源です。筋トレのような高強度の運動を行う際、筋肉に蓄えられたグリコーゲン(糖質)がガソリンとして消費されます。このエネルギーが不足すると体は筋肉を分解してエネルギーを作り出そうとするため、筋トレの効果が半減してしまいます。筋肉を守りトレーニングの質を高めるためにも、適切な量の炭水化物は絶対に必要です。
ミネラル・ビタミン
ミネラルやビタミンは直接的に筋肉の材料になるわけではありませんが、食べたものをエネルギーに変えたり筋肉の働きをサポートしたりと、体の調子を整える「潤滑油」のような非常に重要な役割を担っています。特にタンパク質の代謝を助けるビタミンB群や、抗酸化作用のあるビタミンC・E、筋肉の収縮に関わるカルシウムやマグネシウムといったミネラルは積極的に摂取したい栄養素です。緑黄色野菜や果物、海藻類などからバランス良く摂りましょう。
筋トレ期間におすすめしたい1週間の食事メニュー
ここでは筋力アップを目指す方向けの、1週間の食事メニュー例をご紹介します。これはあくまで一例ですので、ご自身の生活リズムやトレーニングの強度に合わせてアレンジしてみてください。
月曜日の食事メニュー
朝食 | 昼食 | 夕食 |
玄米ご飯、納豆、焼き鮭、わかめの味噌汁 | 鶏むね肉のグリル、ブロッコリー、サラダ、おにぎり | 豚の生姜焼き、キャベツの千切り、豆腐とネギの味噌汁 |
火曜日の食事メニュー
朝食 | 昼食 | 夕食 |
オートミール(プロテイン入り)、バナナ、ヨーグルト | 鶏そぼろと炒り卵の三色丼、ほうれん草のおひたし | 牛赤身肉のステーキ、きのこのソテー、温野菜サラダ |
水曜日の食事メニュー
朝食 | 昼食 | 夕食 |
全粒粉パンのサンドイッチ(卵、鶏ハム)、牛乳 | サバの塩焼き定食(玄米)、切り干し大根 | 鶏肉と野菜のトマト煮込み、キノアサラダ |
木曜日の食事メニュー
朝食 | 昼食 | 夕食 |
玄米ご飯、卵焼き、豚汁 | 豚キムチ丼(温泉卵のせ)、もずく酢 | 鶏もも肉の照り焼き、小松菜の胡麻和え、わかめのスープ |
金曜日の食事メニュー
朝食 | 昼食 | 夕食 |
プロテインパンケーキ、ミックスベリー、ギリシャヨーグルト | 鶏肉のガパオライス(玄米)、生春巻き | カツオのたたき、冷奴、きのこの味噌汁 |
土曜日の食事メニュー
朝食 | 昼食 | 夕食 |
鮭といくらの親子丼、あおさの味噌汁 | 牛肉とピーマンのチンジャオロース、中華スープ | 鶏肉の水炊き(豆腐、きのこ、野菜たっぷり) |
日曜日の食事メニュー
朝食 | 昼食 | 夕食 |
フレンチトースト(全粒粉パン)、サラダ、オレンジジュース | ローストビーフ丼、オニオンスープ | 豚しゃぶサラダ(ゴマだれ)、もずくとキュウリの酢の物 |
筋トレ期間の1週間の食事メニューを決める際のポイント
1週間の食事メニューを考える際には、ご自身の目的が「増量」なのか「減量」なのかによってその戦略が大きく変わってきます。
増量期間の場合
筋肉を大きくしたい「増量期(バルクアップ期)」では、消費カロリーを上回るカロリーを摂取する「オーバーカロリー」が基本となります。 ただしやみくもに何でも食べて良いわけではありません。体脂肪の増加をできるだけ抑えながら筋肉量を増やす「クリーンバルク」を目指すのが理想です。
そのためにはタンパク質を十分に確保した上で、玄米やオートミールといった質の良い炭水化物をトレーニングのエネルギー源としてしっかりと摂取することが重要です。食事の回数を1日4回から5回に増やし、空腹の時間を作らないようにするのも効果的な方法です。
減量期間の場合
体脂肪を落としたい「減量期(ダイエット期)」では、摂取カロリーが消費カロリーを下回る「アンダーカロリー」の状態を作る必要があります。 しかしここで注意すべきなのが、筋肉量をできるだけ落とさないようにすることです。
そのためにはタンパク質の摂取量を増量期以上に意識して確保することが絶対条件となります。 そして炭水化物の量をご自身の活動量に合わせて調整していきます。トレーニングを行う日にはその前後に集中して炭水化物を摂取し、トレーニングをしない日は少し量を控えるといった「カーボサイクル」という手法も有効です。
筋トレ期間に避けるべきもの
最後に、筋トレの効果を台無しにしてしまう可能性のある、避けるべき食べ物や飲み物について確認しておきましょう。
高脂肪食品
揚げ物や脂身の多い肉、洋菓子などに含まれる質の悪い脂肪(飽和脂肪酸やトランス脂肪酸)の過剰摂取は、体脂肪の増加に直結します。また消化に時間がかかるため、トレーニング前の食事としても不向きです。
高糖分食品
砂糖を多く含むお菓子やジュース、菓子パンなどは血糖値を急激に上昇させ、インスリンを過剰に分泌させるため体脂肪が蓄積されやすくなります。トレーニング後の素早い糖質補給の場面を除き、日常的な摂取は控えるべきです。
カフェイン飲料
コーヒーなどに含まれるカフェインは、トレーニング前の集中力を高める効果が期待できる一方で、過剰に摂取すると睡眠の質を低下させる原因となります。筋肉の回復と成長に不可欠な質の良い睡眠を妨げないよう、摂取する時間帯や量には注意が必要です。
アルコール飲料
アルコールは筋肉の合成を妨げ分解を促進するコルチゾールというホルモンの分泌を促します。また利尿作用によって脱水症状を引き起こしたり睡眠の質を低下させたりと、筋トレにとっては百害あって一利なしといっても過言ではありません。
ジャンクフード
ハンバーガーやポテトチップスといったジャンクフードは、高カロリー・高脂肪・高糖質である上に、ビタミンやミネラルといった体に必要な栄養素がほとんど含まれていません。筋肉を育てるための栄養が不足するだけでなく、体脂肪を増やす最大の原因となります。
筋トレの質と同等以上に食事の質が体づくりには大事
食事管理は科学であり、そして日々の地道な積み重ねです。 しかしご自身のライフスタイルや好みを考慮しながら最適な食事メニューを一人で考え、そして毎日継続していくことは決して簡単なことではありません。
もし自己流の食事管理に限界を感じていたり、より専門的でそしてパーソナルなアドバイスを求めているのであれば、ぜひ一度私たちレクサーパーソナルジムのプロのトレーナーにご相談ください。 私たちは客様一人ひとりの体と目標に徹底的に向き合い、トレーニング指導だけでなく栄養学に基づいたあなただけに最適化された食事プランの作成と日々の管理まで、マンツーマンでトータルにサポートさせていただきます。